かき氷

シェフ * 飛影・凍矢



飛影 「・・・・・・・・・」

凍矢 「オイ、飛影!俺はここに出るのは初めてなんだぞ。慣れてるお前が進行してくれ。」

飛 「前に一度、出ただろう。」

凍 「あれは闇鍋パーティに出席しただけで、料理の説明などしていない。」

飛 「蔵馬はどうした?」

凍 「蔵馬は急な仕事が入って来られないそうだ。」

飛 「そんな勝手な事が許されるなら、俺達も料理などしなくてもいいんじゃないか?」

凍 「そういう訳にもいかんだろ。」

飛 「ところで、貴様、今日の料理の”かき氷”の作り方を知っているのか?」

凍 「いや、食べた事もない。ただ、蔵馬からかき氷の写真をもらっている。
   簡単だとは言っていたが・・・・飛影は知っているのか?」

飛 「作り方は知らんが、一度だけ食べた事はある。」

凍 「じゃぁ、この写真と飛影の記憶を頼りに作ってみよう。」

飛 「本当に作るのか?」

凍 「あぁ、これも光を手に入れるための仕事だからな。しかし、緊張して喉が渇いてきた。」

飛 「それなら丁度いいものが置いてある。赤や緑の液体が置いてあるが、おそらくこれは
   ジュースだろう。」

    ゴクゴクゴク・・・・・

飛 「!!!!!!!」

凍 「どうした!飛影!!毒でも入っていたのか?!!」

飛 「あ・・・・甘い!甘すぎる!!人間はこんな物を飲んでいるのか?」

凍 「いや・・・このかき氷の写真を見ろ。氷の上にかかっているものと、同じ色に見えんか?」

飛 「そういえば、甘い汁がかかっていたような気がする。」

凍 「そういう事にして、次は氷を細かくする方法だ。妙な機械があるが、使い方がわからん。」

飛 「使い方がわからんのなら、他に方法を考えればいい。」

凍 「そうだな・・・。例えばこれはどうだ? ”魔笛霰弾射!!!”

   ヒョオォォォォォー

凍 「飛影!氷の粒を器で受けろ!!」

   ドドドドゥゥゥッ!!

凍 「これにさっきの甘い汁をかければいいんじゃないか?」

飛 「確かに写真に似ているが、普通の人間は貴様のような妖気は使えん。他に方法が
   あると思うのだが?」

凍 「そうだな・・・・あっ!これならどうだ?」

飛 「何だ?」

凍 「氷の塊をアイスピックで削るんじゃないのか?これなら人間もやっている事だ。」

飛 「あぁ、そうだな。しかし貴様、妙に手慣れ手つきだな。」

凍 「フッ・・・。昔ホストの仕事をしている時によくやったからな。」

飛 「ホストだと?何故そんな仕事を?」

凍 「魔界の忍だった頃、人間界に潜伏して情報を得るのに、手っ取り早かったからな。
   これでもナンバー1だったんだぜ。今でもよく知っている奴が居るから、なんなら
   紹介してやってもいいが。」

飛 「何ぃ!貴様俺を誰だと思ってる?紹介などしてもらわんでも、自力で大丈夫だ」

凍 「フン。それより、削った氷を器に盛って、甘い汁をかけて・・。飛影、試食してくれ」

   ガリガリ、バリバリ

飛 「うーーむ??こんなに一粒が大きくなく、口に入れるとすぐに溶けてしまう感じだった
   と思うのだが・・・?」

凍・飛 「どうすればいいのだ????」

   ガチャ

桑原 「飛影!凍矢!どうだ、かき氷出来たか?」

飛 「なんだ?貴様。何しに来た!」

桑 「蔵馬に様子を見に行って欲しいって頼まれたからな。ん?まだ出来てねぇのか?
   まさか、作りかたがわかんねーんじゃねぇだろうなぁ?」

飛 「そ、そんな事くらいわかっている。なぁ、凍矢」

凍 「あ、あぁそうだ。お前こそ作り方を知らないんだろう。」

桑 「馬鹿言っちゃぁいけねぇぜ。俺はこう見えても、いつも姉ちゃんに作らされて
   いるからな。二人とも、俺の手際よさをよーく見ておけよ。まず、この氷をかき氷機
   に入れて、ハンドルを回す。」

   ガリガリガリガリ・・・・

桑 「それにお好みのシロップをかける、っと。どうだ?なかなか手早いだろう!せっかく
   作ったんだ。溶けないうちに早く食えよ。」

凍 「う、旨い・・・・」

飛 「確かに旨い!これこそが前に食ったかき氷と同じものだ。」

桑 「旨かったのか?そうか、良かった、良かった。じゃ、俺は先に帰るぜ。」

       ガチャ

桑 「飛影と凍矢の奴、蔵馬が心配してた通り、かき氷の作り方知らなかったようだな。
   あいつらなりに頑張ってたみたいだからよぉ、今日の所は、黙っておいてやるとするか!」



終わり




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