Merry X'mas 3  (作者・むくむく) 


ふわふわ雪が舞い降りる銀世界。自然がくれた贈り物。
「きっと恋人達はロマンチックな時を過ごすんだろうなー」
がうっとりしていると、お腹がググーッと鳴った。
(どうもロマンチックとは縁遠いな)なんて苦笑いしていると
「俺も腹が減ったし、食事でも行きましょうか。」と蔵馬がすかさずフォロー。
(こういう気遣い、飛影には絶対ないのよねー。)

キャンドルの光に照らされたレストランはまるで別世界。
殆どのお客がカップルで、皆幸せそうに食事をしていた。
「ねぇ蔵馬。何だかカップルばっかりで、私達浮いちゃうね」
さんと僕だって、周りから見れば充分カップルだよ」と
蔵馬がワイングラスを少し高く上げ、乾杯の合図をするのを見て は少しドキッとした。
エスコートが上手く、話題も多い蔵馬との食事は楽しかった。

(これが飛影だったら、ただひたすら黙々と食べて、私が何か話しかけても
 「フン」とか「くだらん」とか「黙って早く食え」ぐらいしか言わないんだろうなぁ。
 それにしても正装した蔵馬って、こういう場所によく映えるのよねぇ・・・)
ワインとムードに酔っていたは、連絡がつかない飛影の事などすっかり忘れて、
楽しい時を過ごしていた。

その頃、富良野へと急いでいる飛影の邪眼には、と蔵馬が楽しそうに
食事をしている姿が映し出されてた。
「チッ!蔵馬の奴あんなにワインを勧めやがって。だ。
俺と食事をする時に、あんなドレスなんて着た事もないくせに。
一体どいういゆもりだ!!!」
綺麗なドレスで食事をするような所へ、二人で行った事がないので当たり前の事なのだが、
頭の中が沸き返っている飛影にはそれが理解出来なかったようである。

食事を終え部屋に戻ると、蔵馬は「少し酔いをさましてくるよ」と言って
シャワールームへ行った。一人になったは改めて部屋の中を見回した。
さっきは飛影の心配と、窓から見える景色の美しさで気がつかなかったのだが、
二人の部屋はスウィートルームだった。奥のベッドルームを覗くとログハウス風の
部屋の真ん中に、大きなベッドが1つ置かれてあった。

「わー!なんて大きなベッド。気持ちよさそう〜♪」とが喜んだのも束の間。
「え、でも・・・これ・・・ベッド・・・1つだよね・・・・
1つってことは、誰と誰がここで寝るの・・・?えっと、ここには蔵馬と私だけしか
いないわけだから・・・・・え!!??エエッーーーー!!!」

ようやく事態が呑み込め、事の重大さに気づきパニクっているに、追い打ちをかけるように
さん、どーしたの?何ブツブツ言ってるの」とシャワーを終えた蔵馬が後ろから声をかけた。
飛び上がりそうな程ビックリしただが、冷静さを装って振り向くと、少しはだけた
バスローブからほんのり赤く染まった蔵馬の胸元が目に入り、益々パニックになった。
(うわぁぁぁぁ、どーしよー・・・飛影・・どーしよう・・飛影!!)

(そろそろ現れてくださいよ、飛影。そうじゃないと・・・・・)
蔵馬はに見えないように悪戯っぽくクスッと笑い、窓の外を見た。
雪はやみ、雲の切れ間からのぞいた月の光で、積もった雪がキラキラ輝いていた。


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