ある夏の出来事 「オイ、浦飯。これかぁ?」 桑原が言った。 「・・・ここですか・・・幽助・・・?」 蔵馬も言った。 「チッ!」 飛影が舌打ちをした。 「・・・そ、そうみてぇだなぁ・・・」幽助が答えた。 古い別荘の前で、幽助、桑原、蔵馬、飛影の4人は途方に暮れて突っ立っていた。 夏の初め、幽助の屋台のラーメン屋の常連客が、夏休みのバイト話を持ってきた。 それは資産家だった祖父の遺産相続で、何十年も使っていない古い別荘を譲り受けたので 使えるように手入れをしてくれないか、というものだった。バイト料の良さと、早く掃除 が済めば、夏の間自由に使ってもいいという条件につられて、桑原達を誘ったものの、 別荘は想像以上に荒れ果てていた。 まず門を開けると、背丈ほどの草がびっしり生えていて、玄関に行くためには草刈りから 始めなければならなかった。はじめは妖力や霊力ですればいいと思っていた4人だが、 夏休みで別荘周辺は人の行き来もあったため、仕方なく地道に草を刈り始めた。 玄関にたどり着いた時は、日が傾き始めていた。 4人は家の中に入ったが・・・・ 「オイ、これじゃぁまるでお化け屋敷じゃねぇか。」 「何十年も使ってないだけあってすごい埃だけど、よく見るとかなり立派な建物のようですね。」 「あぁ、かなりの金持ちだったらしいからな。しっかしよぉ、これ、本当にキレイになるのかぁ? 不安になってきちまったぜ。」 落胆している3人に向かって飛影は言った。 「俺は帰る。」 「何でだよぉ、飛影。」 「だいたい、どうして俺がこんな事をしなくちゃならないんだ。今日付き合ってやっただけでも ありがたいと思え。」 ここで逃げられては大変と思い、幽助は慌てて 「おい、そんな冷てぇ事言うなって。早く終われば雪菜ちゃんや蛍子達を呼ぶ約束してるんだぜ。 な、蔵馬。」 と言いながら、蔵馬に目配せをした。 「そ、そうですよ。雪菜ちゃんも別荘に行ってみたいって言ってましたし。」 「ゆ、雪菜さんが、、、本当かぁ〜〜〜」 飛影は、蔵馬の言葉に興奮している桑原にケリを入れ、「フン!」と言ってその場にとどまった。 4人は寝る場所だけは確保して、明日に備えて早めに寝る事にした。各自寝袋を用意していたが、 飛影は一人外へ出ていこうとした。 「飛影、どこ行くんだ?」 「フン、そんな埃っぽい所で寝られるか。」 と窓から出て行き、別荘の前の大きな木に身軽に飛び移り、太い枝に登り眠りについた。 心地よい風が飛影の黒い髪をサラサラ撫でていった。 このお話の続きは、4人の作者が別々に書いています。 それぞれの違った展開をお楽しみ下さい。 ★ 安奈さんのお話へ ★ みなわさんのお話へ ★ 紫月さんのお話へ ★ むくむくのお話へ ★ 企画室へ戻る |